前回は「ドメイン(業者)の選び方」をお話しました。
今回はドメインと合わせて必要な「サーバー」について、その選び方を説明します。
「サーバーの選び方」は「サーバー業者の選び方」とも同じです。
専門用語が多いサーバーの話題ですが、それぞれの用語の意味を理解すれば、業者同士の比較は難しくありません。
ここでは、そんなレンタルサーバー(業者)の選び方を解説します。
◆レンタルサーバーのチェックポイント
- サーバータイプ
- 転送量
- 速度
- メモリ
- CPUのコア数
- 管理画面の使いやすさ
おすすめのサーバータイプ:共用一択
サーバーの種類は、大きく分けて下の4通りがあります。
- 共用サーバー
- 専用サーバー
- VPS(仮想専用サーバー)
- クラウドサーバー
それぞれ、適したサイト規模をまとめると下のとおりです。
共用サーバー | 個人・店舗・中小企業 |
---|---|
専用サーバー | 大企業・ECサイト |
VPS | 共用と専用の中間レベル |
クラウドサーバー | 大企業・グローバル企業など |
この講座で学んでくださっている方なら「共用サーバー」がベストです。
共用サーバー・専用サーバー・VPSの意味
それぞれの意味は「1つのサーバーをどう使うか」が異なります。
共用サーバー | 複数のユーザーが共用で使う |
---|---|
専用サーバー | 1人のユーザーが独占する |
VPS(仮想専用サーバー) | 複数人で「区切って」使う |
VPSは「区切って」いるため、自分に割り当てられたメモリなどは、完全に独占できます。
ただ、1台のサーバーマシン自体は、他の人と共有しています。
そのため、マシン全体でトラブルが起きたら、その影響を受けます。
一方、専用サーバーは「マシン自体を独占」しているため、他のユーザーの影響は一切受けません。
クラウドサーバーとは
クラウドサーバーは「アクセスしたユーザーから最も近い場所のサーバーを動かす」ものです。
アクセスしたユーザーから物理的に近いサーバーを動かすので、サイトスピードが向上して、ユーザビリティが高まるメリットがあります。
しかし、特に膨大なアクセスのあるサイトのみに必要な技術で、ほとんどの企業には不要です。
レンタルサーバーの容量:300GBあれば10年は大丈夫
メモリは300GBあれば、中堅企業でも10年は大丈夫といえます。
300GBは「最大クラスの写真を約100万枚保存できる」レベルです。
つまり、中堅企業で大量の動画や写真を扱うケースでも、10年程度は問題なく利用できます。
この計算の根拠
WEBサイトでは、最大レベルの写真でも300KBに収まります。
たとえば、下の写真は「2000×1333ピクセル」という、WEBサイトとしては「これ以上必要ないサイズ」です。
(これ以上にするのは特殊なデザインのみです)
それでも、容量は「244KB」です(下図の黄色部分のとおりです)。
ということは、WEBサイトとして最大レベルの写真でも、300KBに収まるということです。
ここから「300GBに何枚入るか」を計算すると、下のようになります。
1GB(1,000MB) | 写真3,333枚 |
---|---|
100GB | 写真33.33万枚 |
300GB | 写真99.99万枚 |
このような計算から「最大レベルの写真が約100万枚入る」とわかるわけです。
こんなに要らないのでは?
上の計算を見て「300GBも要らないのでは?」と思うでしょう。
その通りなのですが、国内シェアNo.1のエックスサーバーで一番安いプランが、300GBなのです。
月額は980円で、ドメインとセットならドメインは無料となります(.com、.netの場合)。
シェアNo.1の安定性や速度を考えると、エックスサーバーが一番良く、その最安プランが300GBということです。
容量が小さい格安サーバーは速度が落ちる
300GBより小さいサーバーは「格安サーバー」です(月額300円~500円程度)。
この場合、容量の無駄はないもののサーバー速度が落ちる、接続が不安定になるなどのデメリットがあります。
容量の無駄をなくすより、これらのデメリットをなくすほうが当然重要です。
このため、当社では速度や安定性がすぐれているエックスサーバーの最安プランで容量を決めています。
転送量:1日600GBでバズにも耐えられる
レンタルサーバーの転送量は、スマホの通信制限と同じものです。
(通信制限のサーバー版と考えてください)
この目安ですが、1日600GBまで大丈夫なサーバーであれば、これからWordPressを始める会社が経験するかもしれない「最大級のバズ」でも余裕で耐えられます。
計算の根拠
WEBページの容量は、1ページ2MBが平均です。
そのため、1PVで2MBの転送量を消費します。
ここから計算すると、1日600GBは「月間900万PV」に該当します。
月間900万PVは、ナイル株式会社が運営する『Appliv』のレベルです(参照)。
出典:Appliv
1日600GBならこのレベルまで耐えられるため、どれだけのバズが起きてもダウンしないことはもちろん、サーバーの接続速度が下がることも少ないといえます。
計算を簡単にまとめたもの
1ページの容量 | 2MB |
---|---|
1PVの転送量 | 2MB |
1万PVの転送量 | 20GB(20,000MB) |
30万PVの転送量 | 600GB |
なぜ600GBを出すのか
これもエックスサーバーを基準にしています。
同サーバーでは、最安プラン(月額980円)でも1日600GBまで対応可能です。
【参考】最大2.5倍! バックボーン増強による転送量目安数値の増量について|エックスサーバー
これが「月額500円」などの格安サーバーになると、1日50GBなどと急落します。
わずか数百円の違いで、バズによる飛躍のチャンスをつかめるかつかめないかが変わると考えたら、やはりエックスサーバーのような一流(かつ安い)サーバーを使うべきです。
レンタルサーバーの速度:最大36Gbpsなら速度は完璧
出典:エックスサーバー
これもエックスサーバーが基準になりますが、同サーバーなら最安プランで「最大36Gbps」というスピードで利用できます。
たとえばMixhostは「最大10Gbps」であり、エックスサーバーは約3.6倍となります。
出典:mixhost
そして、月額は下の通りほぼ同じです(最安プランの金額)。
エックスサーバー(x10プラン) | 990円 |
---|---|
mixhost(スタンダード) | 968円 |
もちろん、mixhostは十分に高速なサーバーであり、下のように表示スピード・アクセス処理速度の満足度でもNo.1を記録しています。
ただ、エックスサーバーのようにさらに高速であれば、サイトの制作中に速度を気にせず大きな画像などを次々入れられるというメリットがあります。
- 画像を縮小する
- 圧縮する(同じサイズで容量を落とす処理)
- WebPにする
上記のような作業を「多少サボってもいい」わけです。
こうした「高速化の作業の負担が減る」という点でも、エックスサーバーレベルのスピードがあることが、望ましいといえます。
レンタルサーバーのメモリ:8GBあれば十分
サーバーの速度を決めるスペックの1つが「メモリ」です。
これから立ち上げるサイトであれば4GBで十分です。
そして、月数万PVレベルになったら16GBほどが適切になります。
出典:エックスサーバー
この点で、エックスサーバーはやはり最安プランでも8GBという十分なメモリ数を持っており、文句なしのサーバーです。
レンタルサーバーのCPU:コア数が多いほどいい
メモリと並んで、サーバーの速度を決めるスペックに「コア数」があります。
このコア数も多いほどよく、エックスサーバーは128コアです(最安プランで)。
同レベルの価格帯のサーバーでも、2コアか非公開となっており、特にコア数はエックスサーバーが圧倒的といえます。
(メモリの種類によってもコア数の価値は変わるのですが、ここでは割愛します)
レンタルサーバーの管理画面:使いやすさと管理のしやすさが一番大切
ここまでレンタルサーバーのチェックポイントを解説してきましたが、正直いうと、サーバーに関しては技術が進歩し、どこの会社のサーバーもほとんど性能は変わらないくらいのレベルになっています。
テレビや冷蔵庫と一緒で、基本的な性能はすでに技術的に頭打ちになっていて、もはや微々たる差しかありません。
大企業や超大型サイトを運営する人以外からすれば、どれもオーバースペックです。
とすれば、最後に重要になってくるのは「使いやすさ・運用のしやすさ」です。
私たちは「TCD認定ライセンス」を持っていることもあり、数多くの会社のサイト制作のご相談を受けてきた中で、もっとも使いやすいと評判だったのが「エックスサーバー」です。
ドメインとサーバーをひとつのアカウントで一括管理できたり、サーバー内のファイルをファイル転送ソフトを使わずに直感的に編集できるので、これを選んでおけばまず間違いないです。
まとめ
今回の講座の要点を3行でまとめると、下のとおりです。
- 条件は「共用サーバー・300GB・メモリ8GB・速度最大36Gbps」など
- 基本的に「エックスサーバーの一番安いプラン」でOK
- 格安サーバーはやめた方がいい
WordPressでWEBサイトを構築するなら、ドメインとサーバーを一括管理できるエックスサーバーを選んでおけばまず間違いありません。
>>エックスサーバーでドメイン取得とWordPress導入を簡単に行う
次の講座では『WordPressテーマの選び方』について解説します。
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