WEBサイトを運営するために必ず必要となるのがドメインあり、まず最初に実施するのが「ドメイン取得」です。
ドメインを取得するとき「SEOとドメインはどのように関係するのか」が気になる人は多いでしょう。
このパートでは、WEBサイト運営初心者が必ず悩む「ドメインの決め方・選び方」を解説していきます。
ドメインの文字列とSEOの関係をプロが解説
ドメインとSEOの関係には、下の図解のような3つのポイントがあります。
下記の3点を意識してドメインを選べば、間違いはありません。
(あとはサイト運営自体がすべての課題になります)
- 3つの「しやすい」文字列に
- テクニカルなポイント守る(例外あり)
- 文字列だけでなくドメインの種類も適切に
それぞれ詳しく解説していきます。
ドメイン文字列の決め方①:3つの「しやすい」文字列
入力しやすい文字列にする
たとえば「わいわいネット」という名前のサイトを立ち上げるとします。
このとき、たとえば下のように「数字を使う」と、入力がしにくくなります。
- wai2net.com
- wa1wa1.net
数字とアルファベットが分かれていればまだいいのですが、混在していると厄介です。
たとえば「スマホでメアドを打ち込む時」を想像すればわかるでしょう。
「info@wai2net.com」などのアドレスを、スマホで打ち込むのは面倒です。
自分は「単語登録をする」という方法もありますが、自分以外の人がメアドやURLを直接打たなければいけない場面は多々あるものです。
そうした「直接入力」の負担を減らすために、入力しやすい文字列をえ選びます。
記憶しやすい文字列にする
入力しやすくても、たとえば「qqqaaa.com」などはNGです。
スマホだと、このように「端っこにある文字」は、打ち間違いが少なく入力しやすいものです。
また、PCでも文字の連打は簡単です。
このため「qqqaaa.com」は、入力しやすいという条件を満たしています。
しかし「覚えにくい」でしょう。
「qが3回、aが3回」と覚えても、
- 何回だっけ?
- qとa、どっちが先だっけ?
- 2種類の文字だったけど、どの文字だっけ?
などと忘れてしまう可能性が多くあります。
そのため、何らかの意味があり、意味によって覚えやすいドメインにすべきです。
発音しやすい文字列にする
これは「覚えやすい」にも近いものですが「読んで発音できる」文字列にしましょう。
たとえば、エックスサーバーが持っているドメインで「xsrv.jp」があります。
これは、エックスサーバーのドメインと知っていれば「Xサーブ」や「Xサーバー」と読めます。
しかし、何も知らなければ「エックスエスアールブイ?」と読みにくく感じるでしょう。
このため、エックスサーバーも表に出すドメインは「xserver」と「発音できる文字列」にしています。
補足「xsrv.jp」について
エックスサーバーがこのドメインを使っているのは「データ格納」のためです。
エックスサーバー利用者のデータは、基本的にこのドメインに収納されます。
このため、たとえば「公益社団法人・静岡県栄養士会」のサイトは「shizueiyou.xsrv.jp」をアドレスバーに貼り付けると閲覧できます。
独自ドメインで「shizu-eiyoushi.or.jp」を用いていますが、xsrv.jpの方でも自動転送により、同じページがヒットするのです。
(こうしたデータ格納用では文字列が短い方がいいので「xserver」ではなく「xsrv」が使われているわけです)
ドメイン文字列の決め方②:テクニカルなポイントを守る
ハイフンは1つまで(2つは使わない)
「value-domain.com」のように、ハイフンを入れるのは1つまでにしましょう。
この理由は「2つで成功しているサイトは皆無に近い」ためです。
試しに、あなたが成功したいと思っているいろいろなキーワードで、上位100サイトを次々チェックしてみてください。
ハイフンが2つあるサイトは、ほぼ見つからないはずです。
実際に調査した結果
ハイフン2つで最も多いパターンは「xxx-xxx-blog.com」のように、最後が「-blog.com」で終わるものです。
事例があまりに見つからないため、ひとまずこのパターンに絞って探してみました。
結果、海外サイトでは下記がヒットしました。
外国語なのでクオリティについては正確な判断がしにくいものですが、少なくとも「大成功しているサイトではない」というのは、すぐにわかるでしょう。
もちろん「ブログ専用のドメインだから」ということもあります。
しかし「-blog.com」のパターンでなければ、そもそもドメイン自体がなかなか見つからないのです。
存在自体少ないということは、成功例はさらに少なくなるということです。
このため、ハイフンを2つ使うドメインは避けるべきといえます。
文字数はおおよそ20文字前後まで
プロが使っている長いドメインでは、たとえば『1strentalserver.com』があります。
(ファーストレンタルサーバー社様のドメインです)
これでも「やや長い」と感じる人が多いでしょうが、それでも15文字です。
20文字にする場合、例えば「1strentalserverrapid.com」などとなり、一般的に見て「長すぎる」ドメインになります。
感覚は人それぞれですが「20文字を超えて日本で成功しているドメインは少ない」と言っていいでしょう。
(筆者も本業のライティングであちこちのWebページを毎日大量に拝見しますが、20文字以上のドメインはほぼ見たことがありません)
数字の多用は避ける
基本的に、数字を多用するドメインは避けるべきです。
電話番号をドメインにして成功している例は、大企業でも見られます。
しかし、これらはWebの黎明期に成功したサイトが多いものです。
(電話でのお問い合わせが中心だった時代です)
現代で数字のドメインは「.com」などを取得しにくく、覚えにくいため推奨できません。
(「イトイドットコム=1101.com」など意味があるものは、覚えやすいので良いでしょう)
数字で始まる&終わるは基本避ける
数字で始まる(終わる)ドメインは、スパム業者のドメイン量産でよく使われる手法です。
このため「ドメインを見ただけで警戒される」ことが多いため、基本的に避けましょう。
ただし「r25.jp」のように意味があるものはもちろん例外です。
ドメイン文字列の決め方③:ドメインの種類(.comなど)
この3つのドメインを選んでおけばまず失敗しないです。
あとは基本的に好みの問題なので、このパートでは「できるだけ避けた方がいいもの」を理由と合わせて解説します。
.bizと.infoは避けた方がいい
.bizと.infoは基本的に避けた方がいいものです。
それぞれの理由を説明します。
.bizを避けた方がいい理由
.bizは「商用目的」のドメインです。
このため、非商用で使われているドメインには、他人が異議申し立てをできるというルールがあります。
つまり「非商用では使えない」のですが、この点は「さくらのドメイン」でも下のように書かれています。
ビジネスを対象としたドメインのため、非商用の目的でご利用いただけません。
.bizドメイン取得|さくらのドメイン
このような理由で、.bizはウェブの世界であまり広まりませんでした。
結果、有名なサイトも登場しておらず「あまり信頼できるイメージがない」というのが現状です。
また「ビジネス」という言葉から「利益第一主義」のように感じられてしまうこともあります。
.infoを避けた方がいい理由
.infoは初期に登場した主要ドメインで、.comや.netと比較して安いという特徴がありました。
このため、スパム業者が大量に取得し「.info」のアドレスから迷惑メールを送りつけるケースが多発したのです。
このため「.info」というだけでメールがユーザーに弾かれてしまうことがあり、多くの事業者から敬遠されるようになりました。
結果、.infoも「信頼性が低い」というイメージを持たれてしまっています。
.orgは非営利団体以外使わない
.orgはorganization(組織・団体)の略です。
もともと、NGOなどの非営利組織用のドメインとして、誕生しました。
こうした団体でなくても取得はできますが、ドメインのイメージとずれているため、あまり用いられません。
「.org」で最も有名なサイトは「wikipedia.org」です。
Wikipediaは頻繁に寄付を求めることがネタにされているとおり、非営利団体です(事実上営利団体という指摘もありますが)。
そのWikipediaには「人気のウェブサイト一覧」というページがあります。
ここで世界中の人気サイトを見ても、.orgはWikipediaだけです。
- .cn
- .us
- .com.cn
- .in
- .com.hk
- .ru
- .co.in
- .br
- .de
- .me
- .co.jp
- .ne.jp
- .tv
上記のようなドメインは世界的な人気サイトになっていますが「.org」はWikipediaだけです。
これを見ても、「.org」はビジネス用には向いていないことを実感できるでしょう。
業種に合わないドメインは避ける
「どんなサイトにも使える」というドメインは多数あります。
しかし「業種のイメージに合わない」ということもしばしばあるものです。
たとえば「.click」はオンラインサービス全般ドメインです。
しかし、たとえば葬儀社のサイトで「ososhiki.click」などとやるのはNGでしょう。
オンラインで申し込みできる点では間違いないのですが「人の死を軽んじている」と見られてしまいます。
「クリック」は「簡単に申し込める」というイメージを与えるものです。
それがプラスになるケースも、マイナスになるケースもあるわけです。
つまり、ドメイン適用の「ルール」だけでなく、一般的な「常識・センス」も必要になるといえるでしょう。
(もっとも、このあたりは普通の日本人であれば大きく選択を間違うことはないはずです)
マニアックなドメインは避ける
ビジネスで使うなら、マニアックなドメインは基本的に避けましょう。
代表例は下のような「カラー系」です。
- .red
- .blue
- .pink
こうしたマニアックなドメインは、競争の激しい文字列でも空いていることが多いものです。
たとえば、激戦区の「onigiri」も、下のように空いています(2021年9月30日時点)。
出典:お名前.com
空いているものの「onigiri.red」というドメインのおにぎり屋さんでは、集客は難しいでしょう。
(梅干ししかなさそうです)
「炎のおにぎり屋」というような店舗名で、赤である理由があれば、うまく行く可能性もあります。
これは「.blue」や「.pink」も同様です。
特にナイトワークで「.pink」は有効でしょう。
また、サッカーで「samurai.blue(サムライブルー)」も当然かっこいいものです。
このように色のイメージと合えばいいのですが、合わなければ人気の文字列が空いていても、避けた方がよいといえます。
日本語ドメイン(日本語.jpなど)は基本避ける
日本語ドメインとは「総務省.jp」のように、文字列に日本語が入るドメインです。
この日本語ドメインを避けた方がよい理由は、SNSなどに貼り付けるときに「英数字の文字列」に変換されてしまうためです。
たとえば「https://日本語ドメイン.jp」というドメインで試してみましょう。
Twitterに貼り付けると「https://xn--eckwd4c7c5976acvb2w6i.jp/」という文字列になります(下の画像のとおりです)。
これだと、①長くて邪魔な上に、②ドメインの意味が逆にわからなくなるわけです。
「意味が日本語ですぐわかる」というのが、日本語ドメインのメリットです。
しかし、SNSでの共有時には「逆にわかりにくく」なります。
また、海外サーバーではこれが原因でエラーが起きることもあります。
海外サーバーを使う日本人は普通はいないでしょうが、開発に海外の人が関わる場面などで、エラーが想定されます。
現状使える日本語ドメインの一覧
参考までに、現状で使える日本語ドメインを一覧にすると、下のとおりです。
(すべて「日本語.com」など、文字列部分は日本語になります)
.com | .net | .jp |
.biz | .xyz | .site |
.asia | .world | .fan |
.life | .online | .club |
.style | .shop | .pw |
.space | .tokyo | .website |
.top | .press | |
.wine | .center | .tech |
.design | .kitchen | .tours |
.art | .host | .ooo |
この他「○○○.コム」という、後半部分が日本語(カタカナ)という変わった日本語ドメインも利用できます。
迷ったら「.com」「.jp」「.co.jp」がおすすめ
ブログやメディア、個人サイトといった一般的なWEBサイトを作るなら「.com」を選んでおけばひとまず安心です。
会社のオフィシャルサイトであれば「.co.jp」や「.jp」でもいいでしょう。
SEO的な観点でも、ドメインの種類による評価の差は全くと言って良いほどありませんので、何日も迷うようなことではありません。(SEOで重要なのはWEBサイトのコンテンツやWEBサイトを運営している人や団体、組織の信頼性や権威性です)
まとめ
今回の講座の要点を3行でまとめると、下のとおりです。
- ドメインは「入力・記憶・発音」をしやすい文字列で選ぶ
- 細かいポイントは、①ハイフンは1つまで、②文字数は約20字までなど
- ドメインの決め方は、①bizとinfoを避ける、②日本語ドメインは基本避ける、など
次の講座では『レンタルサーバーの選び方』について解説します。
WEBサイトつくりに必要なもの